社会の急激な変化や多様化が進む中で、生徒一人ひとりが自らの将来を主体的に考え、行動できる力の育成が求められています。千葉県市川市にある市川市立第二中学校では、キャリア教育の一環として、多彩なキャリア講演活動を実践し、生徒の可能性を広げる取り組みが行われています。本記事では、キャリア教育の意義と同校の具体的な実践事例についてご紹介します。
「生徒がキャリアを考える上で、選択肢が大きく広がる時間でした」
そう話してくれたのは、きっかけ株式会社が主催する中学生・高校生向けキャリア講演を実施した市川市立第二中学校の峰岸先生です。今回は、市川市立第二中学校1年生の学年集会でのキャリア講演について、「実施後のリアルな感想」や「生徒の皆さんの変化」をインタビューで深掘りしました。

△左から峰岸先生、杉山校長、五島(キャリア講師)、黒田(キャリア講師)
“キッカケ”キャリア講演会と実施校の概要
◆実施校
市川市立第二中学校
学年:中学1年生
生徒数:約210名
◆実施したキャリア講演の概要
対象:市川市立第二中学校 1年生
講師:五島さん(自動車開発エンジニア)、黒田さん(社長秘書と副業)
内容:①職業講話 ②働くとは何か? ③中学生の夢と今
時間:合計1時間
◆お話いただいた方
峰岸先生(市川市立第二中学校 第一学年 学年主任・キャリア教育担当)
◆聞き手
黒田さん

なぜ?キッカケ職業講演会の依頼を!?
黒田:早速ですが、今回なぜ「All-in-One キャリア教育サービス”キッカケ” キャリア講演会」を実施しようと思われたのですか?
峰岸先生:今年度のキャリア教育を考えていたときに、生徒たちが描くキャリアの選択肢がどうしても狭くなっている現状に課題を感じたことがきっかけです。従来のキャリア教育である、調べ学習や周囲の大人へのインタビューでは限界があり、リアルな働き方や達成感、苦悩などを直接知る機会が必要だと考えました。
また、文字だけでは分からないリアルな働き方や仕事における達成感、苦悩について触れた上で未来を選んでいってほしいと思っています。そこで現役の社会人の皆さんが直接生徒と対話する機会として今回依頼をさせていただきました。

黒田:なぜ今回中学1年生を対象とした講演をご依頼いただいたのでしょうか?
峰岸先生:もちろん、学年問わず実施する価値があると思いますが、特に中学1年生はキャリアについて考えはじめるタイミングです。中学2年生・3年生になると進学や就職という具体的なステップについて考える必要があるため、漠然とした将来や夢、未来について考える1年生の段階で広い選択肢を持って欲しいと考えました。
まさに私達が目的としていた”選択肢を広げる”ことが実現できた講演会でした!

黒田:実際キャリア講演を実施してみて、感じた生徒の皆さんの変化はありましたか?
峰岸先生:実際の生徒の声として「元々は興味のある分野ではなかったものの、話を聞くうちに面白いと感じたので、調べてみようと思います」という感想がありました。まさに私が目的としていた選択肢を広げることが実現できていてとても嬉しかったです。
また、黒田さんが複業という働き方の選択肢について話してくれましたが、実際生徒からは「将来、好きなことを仕事として選びたいと思っていますが、1つの仕事だけでは好きなことはできないと思っています。だからこそ複業という選択肢もありだなと思いました」という感想がありました。話を聞くだけではなく生徒自身が自分ごとに捉え、自分の将来を発想豊かに考えることができたのは大きな変化だったと思います。
黒田:キャリアを考える”きっかけ”に少しでもなれていることがとても嬉しいです!
峰岸先生:何より、講演終了後の生徒の輝いた目が印象的でした。帰り際に黒田さんに「今ちょっと質問してもいいですか!」と話しかけた生徒がいたと思うのですが、実は普段そこまで積極的に発言する生徒ではないんです。
そんな生徒がこの時間をきっかけに「どうしてその職業を選んだのですか?」や「どうしたらなれますか?」と勇気を出して質問するという大きな一歩を踏み出したことは教師として何より嬉しい瞬間でした。

事前にしっかりヒアリング!市川第二中のために講師・時間・講演内容をカスタマイズしていただき、本当に感動しました!
黒田:今回のキャリア講演でよかったポイントはどこですか?
峰岸先生:講演内容を市川市立第二中学校の生徒向けにしっかりとカスタマイズしていただいたことです。事前に2回、講師のお二人と打ち合わせを設定いただいたお陰で、非常に安心感もありましたし、当日も我々教員が伝えたい思いを汲んだ講演をしてくださいました。
また、今の生徒の状況や関心に合わせてお話いただいたところも有難かったポイントのひとつです。やはり、学校毎、さらには学年毎に生徒の特徴というものが明確にあります。事前打ち合わせでは講師のお二人にキャリア教育の進捗度や生徒のリアルな状況について共有させていただいたのですが、しっかり汲み取っていただいたお陰で生徒の心に響く内容になっていました。
黒田:今回は講師2名が登壇させていただきましたが、いかがでしたか?
峰岸先生:生徒の選択肢を広げるという目的において、全く異なる会社・職業のお二人がきていただけたことがとてもよかったです。今回は、「キラキラしている現役社会人の方」で「働くことを楽しんでいる方」というご要望を出させていただきました。きっかけ株式会社に登録している講師の方からぴったりな方を選出いただけるのも学校としては嬉しいポイントでした。
黒田:当日に向けた準備など実施するにあたって大変だったことは何ですか?
峰岸先生:当日を迎えるにあたって事前準備には時間を使いました。中学1年生がいきなり社会人の方のお話を聞くのは難しいため、「こんな方が来てくださるよ!」というオリエンテーションと事前に調べる時間を取りました。
きっかけ株式会社さんの方で生徒向けの”事前アンケート”やそのまま生徒に配布できる”講師のプロフィール資料”を準備してくださったので、とてもスムーズに事前準備を進めることができました。
中学生の目線に立った講演!これまでで最も反響の大きかった講演会でした。

黒田:当日の講演内容についてはいかがでしたか?
峰岸先生:講演では「働く大人のリアル」を中学生の目線でお話しいただいたことが有難かったです。どうしても会社説明がメインになってしまったり、難しい言葉がたくさん使われていたりすると「私とは関係ない」と思ってしまう生徒もいます。だからこそ、「中学生時代の憧れを叶えた」や「実は夢がなかったけれども徐々にやりたいことが見つかった」などの職業だけでなく、キャリアを選んだ背景や生き方についてリアルにお話しいただけたことがよかったです。
また、実は生徒たちの中には「大人になりたくない」「大人になったら働かなくてはいけない」と未来をネガティブに捉えてしまう人も多くいます。そんな中で働く上での楽しさや苦しさ、やりがいについて生徒にもわかるようにお話しいただけたことが行動変容に繋がったと思います。
黒田:質疑応答では、講師それぞれに10名以上の質問があったことに私も驚きました。時間の関係でお答えしきれないほどでしたね。
峰岸先生:生徒が聞きたくなる講演をしてくださったからこそだと思います。中学生にもわかる言葉でお話ししてくださったからこそ、生徒自身が自分ごとで捉え、疑問や質問がたくさん出てきたと思います。
他の先生もびっくり!普段は積極的に質問するタイプじゃない子も質問していた!
黒田:当日はそれぞれのクラスの担任の先生方にも参加いただきましたが、どのような反響がありましたか?
峰岸先生:「生徒たちの活き活きした表情を見れてよかった」という感想が多かったです。質疑応答のタイミングで「実は好きなことがあるけど、それを仕事にするか迷っているんです」と質問した生徒がいたと思います。実は普段は全体の場で積極的に質問するタイプではないのですが、お話に心を動かされて手を挙げたのだと思います。他にも普段はなかなか手を上げないような生徒がこぞって質問していた印象で、普段は見れない生徒の一面を先生たちも見ることができて嬉しかったと思います。

峰岸先生:校長や管理職の先生方も質疑応答に非常に価値のあるお時間だったと言っていました。講師のお二人が質疑応答を一問一答ではなく、対話形式にしてくださったと思います。生徒の本当に聞きたいことを引き出していただきながら、全体に向けてメッセージを発していただくという新しい形で、もっと時間を多く確保すればよかったと反省するほど素敵な時間でした(笑)
黒田:今回実施したキャリア講演は来年度以降も続けたいですか?
峰岸先生:今後もぜひ実施したいと考えています。生徒にも「来年も社会人の方はきてくれますか?」と聞かれるほど反響がありました。新しい気づきやワクワクがなければその言葉は出てこないので、価値のある時間だったことを証明している一言だと思います。
キャリア教育において教員ができることは生徒一人一人と向き合うことだと思っています。逆に、教員は教員しか経験していない人も多いため、社会で働くというリアルな経験は外部の方に話していただくことが重要です。生徒たちは学校にいる大人が社会のすべてだと思いがちなところがあるので、外部のキャリア講師にきていただくことは欠かせないと考えています。他校のキャリア教育に迷う先生方にもおすすめしたいですね!

【事後アンケート】こんなに生徒の意識が変わるなんて!
黒田:
ここからは一緒に事後アンケートの一部を見ながら、
今回の講演会を通じて、生徒たちにどのような変化が見られたかを見ていきましょう。
アンケート結果と分析(N=170)

今回の講演会を通して、約64%の生徒が将来のイメージを実施前より明確にすることができました。
[生徒のコメント抜粋]
・仕事をやっていく上での楽しさやむずかしさ、リアルな大変や責任の重さを知れました。
・仕事はこんな感じでするという話がとても詳しかったし、医療とはあまり関係のない仕事をしている人だったが夢や目標を語ってくださったので、将来のイメージが明確になりました!
・聞く前はただ漠然と、野球選手になりたいなーだったけど、なった後にどうして、どうなってというイメージをするようになった。
・自分のゆめが話を聞く前思いつかなかったけれどもある程度考えることができた。身近なところにヒントはあるという黒田さんの言葉に安心感を得た。
・もともとなりたい職業はあったけど、その職業を将来できるようになるために今、何をすればいいかわからなかったから、今回の講演で「好きなことはとにかくやってみる」とあったから音楽関係で好きなことをやっていったり続けていったりしようと思うことができました。
・話を聞く前では、自分はどういう仕事が向いているのだろうと想像がつきませんでした。けど話を聞いた後、自分が少しやってみたいなと思うことが少しずつ頭に入ってきてこの仕事やってたら楽しいかも!自分に合った仕事かも!と自分の将来のイメージがわきました。
・まだ自分に合う仕事が見つけられていないけど人を助けることをする人になりたいという 考えは持つことができた。
将来にむけての行動について(N=170)

講演会の前後で、なりたい職業があり、”行動をしようと思っている生徒”の割合が、20.6%から41.2%まで増加。“なりたい職業がなく、見つけ方もわからない”生徒が18.2%から8.8%まで減少。
全体として、これから行動していこうとポジティブにとらえている生徒の数は79人から124人と増えました。1/4以上の生徒が自分たちの未来に対して「行動して行きたい」と行動を変えるきっかけになっているのは、キッカケ講演会ならではの良さです。
[生徒のコメント抜粋]
・中学の勉強をしっかりしたい、特に数学や理科など。あと、とてもざっくりでいいから将来に役立つこと考えて行動したい。
・苦手なことから逃げずに取り組むようにしていきたいです。
・自分にできることを精一杯頑張りたいと思ってます。
・将来に向けての進路を考えたい。
・声になるべく出すことでそれがどれだけ聞くかはまだ知らないけどやらないよりはましだと思うからやろうとおもった
・人に気遣いをしたり、勉強をするなどいろんな仕事に共通してできること。
・友達に優しくする
・努力、プランを考える、目標シートをつくり、長期、中期、短期、で細かくする。
講演を”点”に終わらせず、キャリアと向き合う”線”を作りたい

黒田:講演を終えた今、さらに取り組んでいきたいことはありますか?
峰岸先生:今回講演を実施いただいて、生徒の中では大きく選択肢が広がったと実感しています。だからこそ、講演の振り返りだけで終わらず、一人一人の将来に対する考えの変化を形にしていく時間が必要だと感じました。
それは集団ではなく個別で、起こった感情の変化を整理してあげる作業です。きっかけ株式会社さんが提供しているAIキャリア面談もその手段の一つだと思います。本当は今年度実施したかったのですが、タイミング的に利用が叶いませんでした。ぜひ次回は検討させていただき、生徒一人ひとりの1つしかないキャリアに向き合う時間をつくり続けたいです。きっと、きっかけ株式会社さんは、私たちにとっても新しいきっかけを与えてくれると思います。
<AIキャリア面談とは?>
AIキャリア面談は、キャリアコンサルタント監修のAIとの対話を通じて、
生徒一人ひとりに最適化された自己分析を支援するツールです。
先生との進路面談の前に、生徒自身が考える機会を持つことで、対話の質と密度が向上します。
詳しくはお問い合わせください。
黒田:素敵なインタビューの機会をいただきありがとうございました!
きっかけ株式会社が実践するAll-in-One キャリア教育サービス活動
市川市立第二中学校では、生徒のキャリア意識を高めるために、社会で活躍する多様な職業人を招いたキャリア講演を実施しました。生徒は、実際に働く人々から直接話を聞くことで、将来の選択肢や職業観を広げる機会を得ています。
このキャリア講演は、単なる一方通行の講義ではありません。生徒が主体的に質問したり、対話や意見交換をしたりする時間を設けられている点が大きな特徴です。これにより、生徒は職業をより身近に感じ、自らの将来像を描くヒントを得ています。
さらにきっかけ株式会社では、キャリア講演をきっかけに「自分の夢や目標について考える」振り返りの時間や、進路選択の支援ツールとしてAIキャリア面談を提供しています。講演で得た気づきや感情をキャリアコンサルタント監修のAIが引き出してくれ、対話形式でキャリアシートをまとめてくれます。このようにして、生徒は自分の想いを言語化し、自身の将来について考えるプロセスを重ねることで、自己肯定感や主体性を高め、先生との進路面談を円滑にします。
<AIキャリア面談とは?>
AIキャリア面談は、キャリアコンサルタント監修のAIとの対話を通じて、
生徒一人ひとりに最適化された自己分析を支援するツールです。
先生との進路面談の前に、生徒自身が考える機会を持つことで、対話の質と密度が向上します。
詳しくはお問い合わせください。
市川市立第二中学校に実施した弊社サービス”キッカケ”キャリア講演会は、生徒が自らの可能性に気づき、未来へ踏み出すための大きな”きっかけ”となっています。多様な職業人との出会いと対話を通して、生徒は自分自身と向き合い、将来について深く考える貴重な機会を得ています。今後もこのような取り組みが広がり、全ての生徒が自信を持って未来を切り拓ける社会を実現します。
きっかけ株式会社 https://kikkake-corp.com/