個別最適化された進路指導で、生徒の9割が手応えを実感。“診断”ではない、“対話型”のAIキャリア面談とは?
一人ひとりの“非認知能力”を育て、進学にも、その先の人生にも。
※自己理解が「深まった/どちらかといえば深まった」と回答した生徒の割合(n=84/高1・中高一貫コース)。常翔学園での実測値。
「数学ができるから理系、数学が苦手だから文系」——。進路選択の現場では、いまも“得意・不得意”だけで文理を決めてしまう生徒が少なくありません。その根っこにあるのは、「大学に合格すること」がゴールになってしまっているという構造的な課題です。
大阪府大阪市にある私立・常翔学園中学校・高等学校では、この課題に向き合うために、きっかけ株式会社のAIキャリア面談を導入。高校1年・中高一貫コースの全クラスで実施し、回を重ねるごとに生徒の自己理解は深まっていきました。
「この学校に“来てよかった”と思って、社会に出ていってほしいんです」——そう語るのは、進路指導に長年携わってきた村上先生。きっかけ株式会社代表・黒田との対談から、AIキャリア面談が学校現場にもたらした変化を紐解きます。
大阪大学大学院(基礎工学研究科 情報数理系 数理科学専攻)修了。2002年より大阪工業大学高等学校(現・常翔学園高等学校)に勤務。担任、学年主任、教科主任を経て、コース長に就任。
大阪府立大学大学院(応用化学専攻)修了。LINE株式会社で、法人営業やストラテジックプランナー、営業企画、データ関連事業の立ち上げ、教育領域の新規事業開発を経て、2024年にきっかけ株式会社を創業。
1「一人ひとりと深掘りする時間は、現場にはない」——導入のきっかけ
まず、AIキャリア面談を導入してみようと思った背景を教えてください。
きっかけは校長からの紹介でした。内容を聞いてみて、「これは“メタ認知”になるものだな」と。生徒一人ひとりと深く掘り下げて面談していくのは、現場では時間的にどうしても難しい。だからこそ、こういうツールがあれば使えるな、と感じたんです。しかも最初は無償トライアルだったので、それなら使い倒そう、と。
トライアルの中で、どんな課題を解消できると期待されていましたか?
中高一貫コースには、2年生に進級するときに他のコースへ分かれていくクラスもあります。正直、自分の進路をあまり考えられていない生徒もいます。「本当に自分のことをわかった上で選んでいるのか?」——クラスが変わる節目だからこそ、自己理解を促したかったんです。実際、面談を経た後はコース選択が思ったよりスムーズに進んで、生徒たち自身が考えて選んだ印象があります。
2「大学はゴールではなく、目的のための手段」——現場が抱える本当の課題
これまで、「理系にしたけど、文系を選んでおくべきだったと後で悩むケース」——あるいはその逆のようなケースは、多かったですか?
過去にはたくさんありましたね。「全体の成績がいいから理系にしたけれど、理科が好きな訳でもない。本当に私は理系で良かったのか?」とか。他にも「数学ができないから文系」という、望んでの選択ではなく、消去法的・消極的な選択になってしまっている子が、見ていると結構多く感じました。
科目の得意・不得意だけで選んでしまう、と。
なぜそうなるかというと、ゴールが大学になってしまっているからだと思うんです。「どの大学に行けるか」が先に来てしまう。でも、大学はあくまで目的のための手段であるべきで、「将来これをするために、この大学・この学部に進む。」でないといけない。もちろん進学実績も大切です。でも、生徒の自己実現を大切にしたいからこそ、このAIキャリア面談は価値があると感じました。
単純に得意・不得意、点数の取れる・取れないで選びがちなのは、ゴールが大学になってしまっているから。大学はゴールじゃない、手段なんだと、生徒自身が気づけるかどうかが大事なんです。
村上先生
3「どんな人になりたいか」を、初めて考える——メタ認知という価値
他の“考える時間”をつくる取り組みとの違いは、どこにあると感じましたか?
これまでの進路ワークは、冊子を配ったり適性診断をやったり、どうしてもこちらからの一方通行の情報提供で終わっていました。でもAIキャリア面談は、生徒の中から出てくるものを引き出してくれます。「何が好きだったんだろう」から深掘りしていけます。
「音楽が好き」——では、なぜ? どんなときに聴く? どんな気持ちになる? そこまで掘り下げることって、普段はあまりない。だから生徒も主体的になれるんです。
「自分は答えるだけで、まとめてくれる」という声もアンケートにありました。
あの“自分の頭を整理する”作業って、実は結構大変なんですよ。それをAIがまとめてくれる。「どんな人になりたいか」なんて、家でも学校でも普段はそこまで話さないと思うんです。「仕事は何をしたいの」「大学で何を学ぶの」くらいで止まってしまう。でもこのAIキャリア面談では、そこからもう一歩、「どんな人になりたいか」を聞いてくれたりします。それに対して、例えば「感謝される人になりたい」というように、自分でも気づいていなかった軸を言葉にしていける。まさにメタ認知です。
全部AIだとわかっていても、「それ素敵ですね」と返してもらえると、“自分の気持ちは間違っていないんだ”と思える。だからこそ、AI相手だと正直に答えられるんです。
村上先生
4「だんだん“自分のスペース”になっていく」——当日の生徒たち
当日、実際に取り組む生徒の様子はどうでしたか?
割と楽しそうに、熱中してやっていましたね。最初は友達としゃべりながら、という子もいましたが、やっぱり自分のことなので、だんだん「ここは自分のスペースだ」という感じで、自分に向き合っていく。サクサク進む子は本当に没頭していました。
私も最初の回を一緒に見させていただきましたが、ワイワイしながらも、自分でしっかりと進めている子が多くて、楽しそうな印象でした。文理選択で迷っている子には、どうでしたか?
本当に迷っている子にとっては、いいきっかけになっていたと思います。アンケートにも「自分の変化を感じた」「こういうことがしたかったんだ」という声があって、手応えはありました。
5「生徒の状態をAIが要約してくれるのが助かる」——教員にとっての価値
他の学校におすすめするとしたら、どんな点を挙げますか?
おすすめしたいのは、教員がフォローすべき生徒が見えるところです。AIとの対話形式を通して、引き出した生徒の回答を要約してくれるのですが、面談だけでは聞き出せない情報が、そこには詰まっているのです。ダッシュボードで学年やクラス別に分析結果が一覧で見れるので「この子は少し気にかけたほうがいいな」と教員が気づくきっかけになるので、すごくありがたいです。
面談や保護者対応の場面でも使えそうですか?
今年度はシートの様式も新しくなって、現場の反応も「これを見ながら面談できるのはいいね」と。プリントアウトして保護者にお渡しすることもできるし、三者面談でも使える。今後めちゃめちゃ活用できると思っています。
去年の担任が「この子、これが好きだったのか」と新たに気付くこともありました。表に出ない“本当の好き”や個性が見える。面談ではなかなか聞き出せない部分なんです。
村上先生
6「与えられて使うだけじゃない。一緒に作っている感覚」——きっかけとの関係
サービスそのものだけでなく、私たちのスタッフのサポート体制はいかがでしたか?
正直、最初は「サポートって、使い方を教えてもらうくらいかな」と思っていたんです。でも実際は、ヒアリングの中で「じゃあ、こうしていきますね」と、要望を柔軟に反映してくれる。要約の仕方や質問の中身まで変えられる。「そんなことまで対応してくれるのか」と。他社のプロダクトは“与えられたものを使うだけ”ですが、これは一緒に作り上げている感覚がある。だからこそ、もっと広げていきたいという気持ちになるんです。
ありがとうございます。世の中のプロダクトの多くは、現場のニーズと合わずに「あまり使われない」ものになりがちなんです。だからこそ、使っていただいて「必要だ」と言われたものを一緒に作る。常翔学園さんとは、まさにそういう関係でやらせてもらっていると感じています。
7「やってみないとわからない」——AIとの対話が生む“疑似体験”
進路の話をするとき、よく言うんです。「君はラーメン、何味が好き?」「醤油も味噌も食べた結果、塩」。それと同じで、「エンジニアになりたい」と言うなら、エンジニアをやったことがあるのか、と。もちろん、全部を体験することはできません。でも、調べる・体験する・話を聞くという“疑似体験”はできる。AIキャリア面談で対話するなかでも、生徒は「こういう生き方をしたいなら、こういう進路だな」と、自分の将来を具体的に想像しはじめるんです。
働くことも、大学での学びも、やってみるまではなかなか分からない。よく「入社3年以内の離職率が高い」と言われますが、進路を選ぶときに、自分に合う道を自分で選べていないことも大きいと思うんです。だからこそ、生徒が早い段階で自分と向き合える機会に、価値があると感じます。
8「“生徒自身の第一志望合格率”を高めたい学校へ」——どんな学校に勧めたいか
改めて、他校の先生に勧めるとしたら、どんなところでしょう?
まず現場目線では、気にかけたい生徒にちゃんと目を向けられるところ。そのうえで、どんな学校に、という意味では——「生徒一人ひとりの第一志望合格率を高めたい」と考えている学校に、特に合うと思います。一人ひとりが納得して、望む進路を実現できる。そこを大切にしたい学校に、です。実は以前、“学校版MBA”の研修プログラムを受講していた際に、私自身「何人合格したか、ではなく“自己実現の達成率”で測りたい」と発表したこともあるんです。
メタ認知のような“非認知能力”を育てることが、結果的に学力(“認知能力”)も、その先の人生も押し上げていく。私たちはそう考えています。
そう感じますね。自分を深く理解することは、受験のためだけじゃない。社会に出てからも、自分で考えて選び、納得して進んでいける力になりますから。
生徒一人ひとりの“第一志望合格率”を高めたい——そんな学校にこそ、合うと思います。
村上先生
来年度以降も実施したいと思われますか?
はい!バージョンアップも続いていて、他校にも自信を持っておすすめできます。値段も良心的で、始めやすいのも大きいと思います。
9これから——現場の声から生まれる、次のテーマ
対談の終盤では、“次の一手”についても話が弾みました。
きっかけのAIキャリア面談は、こうして現場の先生との対話の中から、必要な機能を一緒に育てているプロダクトです。「与えられたものを使う」のではなく、「一緒に作る」。その関係性こそが、常翔学園での成果を支えてきました。
生徒にとってはメタ認知、教員にとってはその子の特性が知れる。面談ではなかなか聞き出せない部分が見える。やってよかったと、本当に思っています。
村上先生
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きっかけ株式会社のAIキャリア面談(およびキャリア講演会)について、
「自校に合うか相談したい」「まずは話を聞いてみたい」という方は、お気軽にどうぞ。
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※本記事は、常翔学園中学校・高等学校 村上先生へのインタビューをもとに構成しています。発言は読みやすさのため一部編集しています。アンケート数値は常翔学園での実測値です。
