【教育NEWS】世界の15歳の学力比較PISA、日本が急上昇、背景には何が

まとめ

  • 4年ぶりに行われた国際的な学力比較テストPISAにおいて、日本は3分野でトップクラスの成績を収めました。
  • 特に前回15位だった読解力が3位に上昇するなど言語リテラシーの向上が見られました。
  • その要因について文科省やOECD、メディア各社の記事を参考に紐解いていきたいと思います。

目次

  1. PISAの概要
  2. 2022年の日本の成績
  3. 教育環境の変化とその影響(コロナ休校など)
  4. 読解力向上の背景
  5. 自立的学習の課題
  6. 教育改革の展望

1: PISAの概要

経済協力開発機構(OECD)は2023年12月5日、国際的な学習到達度調査「PISA2022」を発表しました。 PISA(Programme for International Student Assessment:国際学生評価プログラム)は、OECDが主催し、義務教育修了段階の15歳の生徒(日本では高校1年生)の学力を国際的に評価するテストです。 2000年から3年に1回実施されており、「数学的リテラシー」「読解力」「科学的リテラシー」の3つの分野で学生の知識と応用能力が評価されます。

この評価は単に知識の量を測るだけでなく、その知識を日常生活や将来の職業でどのように活用できるかを見ることに重点を置いています。 PISAの結果は、世界中の教育政策や教育改革の指針を形成する上で非常に重要と言われており、国際教育界から高い注目を集めています。

また、生徒の家庭環境や学習条件などを調査し、学習到達度との関連性を分析する「生徒質問調査」と、デジタル機器の利用状況について尋ねた「ICT活用調査」も合わせて行われました。

2: 2022年の日本の成績

コロナ禍を経て4年ぶりとなる今回2022年のPISA調査では、日本は大幅な成績上昇を記録しています。 読解力では、前回の15位から大幅に順位を上げて3位にランクイン。 数学的リテラシーでは6位から5位に上昇し、安定した成績を維持しています。 科学的リテラシーでは、前回の5位から2位へと上昇し、世界トップクラスの地位を確立しました。

これらの成績は、日本の教育システムが国際基準で高いレベルを維持していることを示していますが、日本社会の幸福度や労働生産性などの指標と比較した際に必ずしもPISAの結果が教育成果の向上と言える訳ではないことには留意したいところです。

2000年からの日本の順位の推移

2000年からの日本の順位の推移

3: 教育環境の変化とその影響

コロナ禍により、日本の教育環境は大きな変化を経験しました。多くの学校がオンライン授業に移行し、新しい教育の方法が試みられました。これらの変化は、PISAの成績にも影響を与えたと考えられると新聞各社が考察しています。

休校期間の短縮やデジタル教材の利用が学生の学習機会の確保に寄与した可能性がありますが、一方でデジタル化が進む中で学校間・地域間・家庭間でのデジタル格差・教育格差の問題も浮き彫りになったとも伝えています。

OECD見解

新型コロナウイルス感染症での休校期間が他国に比べて短かったことが影響した影響したと指摘しています。実際にコロナ禍で実施された今回の調査では、学校閉鎖の期間が短い国・地域ほど平均得点が高い傾向がみられています。

文科省見解

・学校現場において現行の学習指導要領を踏まえた授業改善が進んだこと

・学校におけるICT環境の整備が進み、生徒が学校でのICT機器の使用に慣れたこと

などの様々な要因も、日本の結果に複合的に影響していると考えられるとしています。

経済文化的背景と学力の関係性ついて

社会経済文化的背景(ESCS)の水準が高いほど習熟度レベルが高い生徒の割合が多く、低いほど習熟度レベルが低い生徒の割合が多い傾向が見られることは、OECD平均と同様の傾向。

一方、数学的リテラシーの平均得点が高い国の中では、日本はESCS水準別に見た数学的リテラシーの得点差が小さい国の一つで、かつ、ESCSが生徒の得点に影響を及ぼす度合いが低い国の一つ。

4: 読解力向上の背景

2022年のPISA結果における日本の読解力の向上は、教育方針の変更によるものだという意見も散見されます。

言語理解を重視した新しい教育カリキュラムが導入され、生徒の批判的思考力と理解力の向上が図られたこと、教師たちの専門性を活用し、生徒が授業に積極的に参加する手法が功を奏し、読解力の向上につながったという分析している記事もありました。

5: 自立的学習の課題

学力調査と並行して行われた調査の結果、日本の生徒たちが自立的な学習に自信を持たないことが明らかになりました。

生徒たちが自ら問題を解決し、新しい情報を収集し、未知の状況に適応する能力を育むために不可欠な力として、教育の中で生徒自身が意思決定を行い、学習プロセスに積極的に参加することが重要とされています。

実際のところ、自立的な学習意思、目的を見出せていないにも関わらずここまでの学力水準であることは非常に凄いことだと思います。

ただ一方で、学習する目的を見出した時の子供たちの力は、そうでない時と比較にならないほど大きくなることも私たちは知っています。

せっかくの高い学力・知識を自らの社会や人生を切り拓いていく上で、有効に使っていく、そんなきっかけを作っていくためにも、まずは自分たちが出ていく社会には「どんな職業があるのか」「どんな仕事があるのか」「どんな生き方があるのか」をもっと子供達に届けていく必要があるのではないでしょうか?

6: 教育改革の展望

日本の今後の教育改革は、新学習指導要領でも学びに向かう力として定義されているように自立的学習能力の向上に1つの焦点を当てています。

PISAの結果を受け、生徒が自信を持って学べるような教育環境の整備が必要とされていますが、これにはICTの活用、授業方法の革新、教師の研修強化が重要です。

また、教育格差を解消し、各生徒の個別のニーズに対応する柔軟な教育方針の導入も求められています。

そして、その学力を最大限に活かすべく、生徒が出ていく社会や企業と学校の距離を狭めていく、そんな取り組みを増やしていくべきではないでしょうか?

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